賃貸経営

空室1ヶ月の損失はいくら?家賃別シミュレーションと「見えないロス」の正体

2026.06.17
空室1ヶ月の損失はいくら?家賃別シミュレーションと「見えないロス」の正体

空室1ヶ月の損失は「家賃1ヶ月分」だけではありません。家賃8万円の物件なら、表面的な逸失家賃8万円に加え、空室広告料(AD)・フリーレント・原状回復の遅延損失といった「見えないロス」が積み重なり、実際の損失は20万円〜40万円規模に膨らむこともあります。この記事では、家賃5万・8万・12万円の3帯別に空室損失を月次でシミュレーションし、「空室1日=逸失家賃いくら」という物差しで損失額を計算する方法を、管理会社・オーナー向けにわかりやすく解説します。自分の物件にすぐ当てはめられる早見表つきです。

📋 この記事でわかること

  • 「空室1日=逸失家賃いくら」を求める計算式と家賃別の早見表
  • 家賃5万・8万・12万円別、空室1〜6ヶ月の月次損失シミュレーション
  • 表面上は見えない「広告料・フリーレント・工事遅延」というロスの内訳
  • 原状回復工事が1週間遅れると損失がいくら増えるかの具体的な試算
  • 損失額を根拠に、家賃据え置き・値下げ・工事スピードを判断する方法

1. 空室1ヶ月の損失はいくら?まず結論【家賃別早見表】

空室1ヶ月の表面損失は「家賃1ヶ月分」ですが、実際の損失はそれより大きくなります。家賃8万円なら表面損失8万円に対し、広告料・フリーレント・工事遅延などの「見えないロス」を加えた実質損失は20万円前後に達することも珍しくありません。

空室損失をどんぶり勘定で「家賃1ヶ月分くらい」と捉えていると、対策にかけるべきコスト感覚を見誤ります。たとえば「原状回復を急ぐために数万円多く払う」判断が損か得かは、空室1日あたりの逸失家賃がいくらかを知らなければ決められません。まずは損失を1日単位まで分解する計算式を押さえましょう。

「空室1日=逸失家賃いくら」の計算式

空室損失を正しく測る出発点は、家賃を1日あたりに割り戻すことです。月単位ではなく日単位で考えると、「あと1日早く埋める」「工事を1日早く終える」ことの金額的な価値がはっきり見えてきます。計算式はシンプルです。

📐 空室損失の基本計算式

1日あたり逸失家賃 = 月額家賃 ÷ 30日
空室損失(表面)= 1日あたり逸失家賃 × 空室日数
空室損失(実質)= 表面損失 + 広告料・フリーレント・工事遅延などの見えないロス

月を30日として割り戻すのは、月の日数による誤差を抑え、どの物件でも同じ物差しで比較できるようにするためです。実務では正確な暦日数で計算しても構いませんが、概算では30日割りが扱いやすく、本記事でもこの方式に統一します。

家賃別・1日あたり逸失家賃の早見表

下の早見表は、自分の物件の家賃に最も近い行を見るだけで「空室1日でいくら損しているか」がわかる構成にしています。この表をブックマークし、空室が出るたびに当てはめるのがおすすめです。

月額家賃 空室1日 空室1週間 空室1ヶ月 空室3ヶ月
5万円 約1,667円 約11,667円 50,000円 150,000円
6万円 約2,000円 14,000円 60,000円 180,000円
8万円 約2,667円 約18,667円 80,000円 240,000円
10万円 約3,333円 約23,333円 100,000円 300,000円
12万円 4,000円 28,000円 120,000円 360,000円
15万円 5,000円 35,000円 150,000円 450,000円

注目してほしいのは、家賃8万円の物件では空室1日でおよそ2,667円が消えているという事実です。1週間で約1.9万円、1ヶ月で8万円。たった1日でも「コンビニ1回分の損失ではない」ことが直感的にわかります。この物差しを持つだけで、空室対策の優先順位が大きく変わります。なお、この表はあくまで表面損失(逸失家賃のみ)です。実際にはここに「見えないロス」が上乗せされるため、次章で家賃帯別に詳しく分解します。

2. 家賃帯別・空室損失シミュレーション(5万/8万/12万円)

ここからは、ブリーフでも指定の多い家賃5万・8万・12万円の3帯について、空室が長引いた場合の損失を月次で追います。表面損失(逸失家賃)が月を追うごとにどう積み上がるかを可視化することで、「早期に手を打つほど損失を抑えられる」ことが数字で実感できます。

月次の損失推移表(1〜6ヶ月)

下表は、空室が1ヶ月から6ヶ月まで続いた場合の累積逸失家賃です。空室が長引くほど損失は直線的に増え続けます。6ヶ月空くと家賃半年分がそのまま消えるという、当たり前ですが見落としがちな事実が一目でわかります。

空室期間 家賃5万円 家賃8万円 家賃12万円
1ヶ月 50,000円 80,000円 120,000円
2ヶ月 100,000円 160,000円 240,000円
3ヶ月 150,000円 240,000円 360,000円
4ヶ月 200,000円 320,000円 480,000円
5ヶ月 250,000円 400,000円 600,000円
6ヶ月 300,000円 480,000円 720,000円

空室がどのくらいの期間で埋まるのが「普通」なのか、相場と長期化の判断軸については空室期間の平均日数と長期化の原因を解説した記事で詳しく扱っています。本記事では「損失がいくらか」の計算に焦点を絞るため、平均日数そのものの深掘りはそちらに譲ります。

表面損失と「実質損失」の違い

前章の早見表や上の推移表は、いずれも逸失家賃だけを集計した表面損失です。しかし実際の空室では、入居者を決めるための広告料や、契約を後押しするフリーレント、原状回復の遅れによる空室延長といったコストが追加で発生します。これらを足し込んだものが実質損失です。

具体例として、家賃8万円の物件で空室2ヶ月、広告料(AD)家賃2ヶ月分、フリーレント1ヶ月、原状回復の手配遅れで2週間余分に空いたケースを試算すると、次のようになります。

実質損失の試算例 家賃8万円・空室2ヶ月のケース

表面損失(逸失家賃 8万円 × 2ヶ月):160,000円

広告料・AD(家賃2ヶ月分):160,000円

フリーレント1ヶ月(実質値引き):80,000円

原状回復遅延による空室延長(2週間分の逸失家賃):約37,333円

→ 実質損失合計 = 約437,333円(表面損失の約2.7倍)

このように、実質損失は表面損失の2〜3倍に膨らむことがあります。広告料やフリーレントは「入居が決まった瞬間に発生する出費」であるため、家賃が入り始めると忘れられがちですが、空室損失の一部として必ず計上すべきコストです。次章でこれら「見えないロス」を一つずつ分解します。

3. 「見えないロス」の正体と内訳

空室損失を「家賃◯ヶ月分」だけで捉えると、実際の3〜4割を見落とします。ここでは表に出にくい4種類のロスを、それぞれ計算可能な形で整理します。自分の物件でどれが効いているかをチェックしながら読んでください。

①空室広告料・AD(広告料)

AD(advertisement/広告料)は、入居者を客付けしてくれた仲介会社に支払う成功報酬です。空室が長引いて埋まりにくい物件ほど、ADを家賃1〜3ヶ月分上乗せして募集力を高めるのが一般的です。これは家賃には現れないが確実に手取りを削る、典型的な見えないロスです。

AD水準 家賃5万円 家賃8万円 家賃12万円
AD1ヶ月 50,000円 80,000円 120,000円
AD2ヶ月 100,000円 160,000円 240,000円
AD3ヶ月 150,000円 240,000円 360,000円

ポイントは、ADは「空室を早く埋めるための投資」であると同時に「空室が長引くほど積み増しが必要になる費用」でもある点です。空室期間とAD額はトレードオフの関係にあり、工事や募集のスピードを上げて短期で決められれば、ADを抑えられる可能性が高まります。

②フリーレント(家賃無料期間)

フリーレント(一定期間の家賃無料)は、家賃の表示額を下げずに実質値引きをする手法です。入居後すぐの解約を防ぎつつ成約率を高められる一方、無料にした期間分はまるごと逸失家賃になります。家賃8万円で1ヶ月のフリーレントを付ければ、それだけで8万円のロスです。

⚠️ フリーレントは「家賃を下げない値引き」だが損失は同額

フリーレント1ヶ月は、表示家賃を維持できるメリットがある反面、家賃1ヶ月分の現金収入を失う点では値下げと同じです。「家賃据え置き=損していない」という錯覚に注意し、フリーレント分も空室損失として計上しましょう。

③原状回復・工事遅延による空室延長

見落とされやすいのが、退去から募集開始までの原状回復工事に要する期間です。退去立会いの日程調整、見積取得、業者の着工待ち、施工そのものに時間がかかると、その間ずっと空室損失が発生します。たとえば退去から着工まで2週間待っただけで、家賃8万円なら約3.7万円が消えます。だからこそ、退去後の原状回復をワンストップで対応できる原状回復工事の専門サービスを活用し、着工までの待ち時間を圧縮して早期に募集を再開することが、損失を最小化するうえで有効です。

業者によっては立会い担当と施工担当が分かれておらず、見積から着工までに何度も日程調整が入り、空室がずるずる延びることがあります。原状回復にかかる費用そのものの相場は原状回復費用の相場と内訳を解説した記事で確認できますが、ここで強調したいのは「費用」だけでなく「遅延による空室損失」も同時に発生しているという点です。工期そのものを短縮する具体策は原状回復の工期を短縮する手順をまとめた記事で詳しく扱っているため、本記事では「遅延がいくらの損失になるか」の試算に絞ります(第4章)。

④その他の固定費・機会損失

空室中も、以下の固定費は止まりません。これらは「家賃が入らないのに出ていくお金」であり、空室損失の実質額を押し上げます。

  • 共用部の水道光熱費・管理費:入居の有無に関わらず発生する固定コスト
  • 固定資産税・都市計画税:空室でも按分されて発生し続ける
  • ローン返済:融資を受けている場合、家賃ゼロでも返済は継続
  • 機会損失:本来得られたはずの家賃を再投資・繰上返済に回せない損失

特にローン返済中の物件では、空室期間がキャッシュフローを直接圧迫します。逸失家賃に加えてこれらの固定費が重なるため、空室は「収入が止まる」だけでなく「持ち出しが発生する」状態になりうる、という認識が重要です。

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4. 工事が1週間遅れるといくら損する?遅延損失の試算

空室損失の中でも、管理側のコントロールで縮められる代表格が「原状回復の遅延」です。ここでは「工事が1週間遅れると損失がいくら増えるか」を家賃帯別に試算します。遅延は募集開始日を後ろ倒しにするため、遅れた日数分がそのまま空室損失として上乗せされます。

遅延日数 家賃5万円 家賃8万円 家賃12万円
3日遅延 5,000円 8,000円 12,000円
1週間(7日)遅延 約11,667円 約18,667円 28,000円
2週間(14日)遅延 約23,333円 約37,333円 56,000円
1ヶ月遅延 50,000円 80,000円 120,000円

家賃12万円の物件なら、工事が1週間遅れるだけで2.8万円の追加損失です。ここで考えるべきは、「数千円安い業者を探して着工が1週間遅れる」のと「多少単価が高くても即日〜数日で着工できる」のとでは、どちらがトータルで得かという視点です。

弊社の現場事例 着工の前倒しで遅延ロスを回避(家賃9.5万円・1LDK)

退去立会いの場で損傷箇所と原状回復範囲をその場で確定。立会い担当と施工担当が連携し、見積を待たずに着工準備を進めたことで、退去翌々日に着工しました。

一般的に退去から着工まで1〜2週間空くケースと比べ、約10日分(家賃9.5万円なら約3.2万円)の空室損失を回避できた計算になります。

→ 工事単価の差より、着工スピードの差のほうが損益インパクトが大きいケースは多い

📌 「安さ」と「速さ」を同じ土俵で比較する

業者選定では工事費の見積額に目が行きがちですが、見積額の差+遅延による空室損失の合計で比較するのが正解です。たとえば工事費が2万円高くても着工が1週間早ければ、家賃12万円の物件では実質トントン、それ以上速ければ得になります。

5. 【管理会社向け】損失額を数字でオーナーに説明する技術

管理会社の現場担当者にとって、原状回復のグレードアップや早期着工をオーナーに提案するとき、「損失を数字で示せるか」が承認の分かれ目になります。感覚的な「早めにやりましょう」では動かないオーナーも、損益の試算を見せれば判断しやすくなります。ここでは説明に使える3つの型を紹介します。

1

「1日あたり逸失家賃」で時間の価値を示す

「この物件は空室1日で約2,667円が失われています。着工を1週間早めれば約1.9万円の損失を防げます」と日割りで提示すると、スピードの価値が伝わります。月単位より日単位のほうが行動を促しやすいのがポイントです。

2

「見えないロス」を含めた実質損失で全体像を示す

逸失家賃だけでなく、AD・フリーレント・固定費を含めた実質損失で提示します。「表面では家賃2ヶ月分でも、ADとフリーレントを含めると実質40万円超です」と示すことで、対策コストの妥当性が腹落ちします。

3

対策費用と回避できる損失を並べて費用対効果を示す

「原状回復を3万円上乗せして即日着工すれば、空室を10日短縮でき約3万円の損失を回避できる」など、かける費用と防げる損失を並記します。投資判断として提示すれば、合理的なオーナーほど承認しやすくなります。

このとき、退去立会いから原状回復・募集までの流れ全体をワンストップで把握しておくと、どの工程で時間とコストが発生しているかを説明しやすくなります。空室ロス削減の全体像は空室ロス対策の全体ガイドにまとめているので、個別の損失計算と合わせて活用してください。

6. 【オーナー向け】損失計算を意思決定に使う3つの場面

オーナー自身が損失計算を使いこなせると、空室にまつわる判断の精度が上がります。「いくら損しているか」を起点に意思決定する代表的な3場面を整理します。

場面1

家賃を下げるか据え置くか

値下げ額 × 今後の入居期間と、空室継続による逸失家賃を比較します。下げすぎると将来の家賃収入を恒久的に削るため、損失計算で適正な落としどころを探ります。

場面2

原状回復にいくらかけるか

追加投資で空室を短縮できるなら、回避できる損失と費用を天秤にかけます。1日あたり逸失家賃が大きい物件ほど、スピード重視の判断が合理的になります。

場面3

空室保証・サブリースの是非

空室保証料と、実際の空室発生確率 × 想定損失を比較します。損失額の相場を把握していれば、保証コストが割高・割安かを判断できます。

いずれの場面でも、判断の土台になるのは「1日あたり逸失家賃」と「実質損失額」の2つです。この2つを把握していれば、仲介会社や管理会社からの提案に対しても、感覚ではなく数字で是非を判断できます。

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7. 「家賃を下げれば早く埋まる」は本当に得か?反論への回答

空室が続くと、「家賃を下げれば早く決まるのだから、損失計算など細かく考えず値下げすればいい」という声が出ます。これはもっともらしい反論ですが、数字で検証すると一概には正しくないことがわかります。

ポイントは、空室損失は「一時的な損失」である一方、家賃の値下げは入居期間中ずっと続く恒久的な損失になりうる点です。家賃8万円を7万円に下げた場合で比べてみましょう。

比較項目 内容
1万円値下げの
年間影響
1万円 × 12ヶ月 = 年12万円の家賃減。入居が4年続けば累計48万円の減収
据え置きで
1ヶ月余分に空室
家賃8万円 × 1ヶ月 = 8万円の損失(一度きり)
結論 1ヶ月程度の空室延長なら、値下げより据え置きのほうが長期的に有利なケースが多い

つまり、値下げは「短期の空室損失」と「長期の家賃減収」を交換する行為です。多少空室が延びても、家賃を据え置いて原状回復の質や募集の見せ方で勝負するほうがトータルで得になる場合が少なくありません。ただし、相場から大きく乖離した強気の家賃設定は空室を不必要に長引かせるため、適正相場の見極めは前提です。値下げに頼らず成約率を上げる「見せ方」の改善は別記事で扱う論点のため、ここでは損益の比較軸の提示にとどめます。

⚠️ 値下げ判断の前に確認したいこと

値下げを検討する前に、まず「そもそも工事や募集が遅れて空室が延びていないか」を疑ってください。コントロール可能な遅延ロスを放置したまま値下げに走ると、防げた損失と恒久的な減収の両方を抱えることになります。

8. よくある質問(FAQ)

Q 空室1ヶ月の家賃損失はいくらですか?
A

表面損失は家賃1ヶ月分です。家賃5万円なら5万円、8万円なら8万円、12万円なら12万円が逸失家賃になります。ただし実際には、入居を決めるための広告料(AD)やフリーレント、原状回復の遅延による空室延長、共用部光熱費や固定資産税といった固定費が上乗せされるため、実質損失は表面損失の2〜3倍になることもあります。まずは「月額家賃÷30日」で1日あたりの逸失家賃を出し、空室日数を掛けて表面損失を求めるのが基本です。

Q 空室の損失はどうやって計算すればいいですか?
A

基本式は「1日あたり逸失家賃(月額家賃÷30日)× 空室日数」です。これが表面損失です。さらに正確に把握するには、ここに①広告料・AD、②フリーレントで無料にした期間分、③原状回復の遅延で余分に空いた日数分、④共用部光熱費・固定資産税・ローン返済などの固定費を加算します。これらを足したものが実質損失で、対策コストの妥当性を判断する基準になります。

Q 空室の「見えないロス」とは具体的に何ですか?
A

逸失家賃以外で発生する損失の総称です。代表的なものは、仲介会社に支払う広告料(AD、家賃1〜3ヶ月分)、成約を後押しするフリーレント(無料期間分の家賃)、原状回復の遅延による空室延長、そして空室中も止まらない共用部光熱費・固定資産税・ローン返済などの固定費です。これらは家賃の数字には現れませんが、確実にキャッシュフローを削るため、空室損失の一部として計上すべきです。

Q 原状回復工事が1週間遅れると、いくら損しますか?
A

遅れた日数分の逸失家賃がそのまま損失になります。1週間(7日)の遅延なら、家賃5万円で約11,667円、8万円で約18,667円、12万円で28,000円です。工事費を数千円安く抑えても着工が1週間遅れれば、この遅延ロスのほうが大きくなることがあります。業者選定では工事費の見積額だけでなく「見積額+遅延による空室損失」の合計で比較するのが合理的です。

Q 家賃を下げて早く埋めるのと、据え置いて空室を待つのはどちらが得ですか?
A

ケースによりますが、1ヶ月程度の空室延長で済むなら、据え置きのほうが長期的に有利な場合が多いです。値下げは入居期間中ずっと続く恒久的な減収になる一方、空室損失は一時的だからです。たとえば1万円の値下げは年12万円の減収、入居4年で累計48万円ですが、据え置きで1ヶ月余分に空いても損失は家賃1回分です。ただし相場から大きく外れた強気設定は空室を不必要に延ばすため、適正相場の見極めは前提になります。

9. まとめ

空室損失は「家賃◯ヶ月分」というどんぶり勘定ではなく、1日あたり逸失家賃 × 空室日数を起点に計算するのが基本です。さらに広告料・フリーレント・原状回復の遅延・固定費といった見えないロスを加えると、実質損失は表面損失の2〜3倍に膨らむことがあります。

  • 1日あたり逸失家賃 = 月額家賃 ÷ 30日。家賃8万円なら空室1日で約2,667円
  • 表面損失は逸失家賃のみ。実質損失はAD・フリーレント・遅延・固定費を加算して2〜3倍に
  • 工事が1週間遅れると、家賃12万円で2.8万円の追加損失。着工スピードは損益に直結
  • 業者選定は「見積額+遅延ロス」の合計で比較する
  • 値下げは恒久的な減収。1ヶ月程度の空室延長なら据え置きが有利なことが多い

損失を数字で把握できれば、家賃の据え置き・値下げ、原状回復への投資、業者選定まで、すべての判断が合理的になります。退去後すぐに募集を始めて空室期間を縮める手順は退去後の募集タイミングを解説した記事を、業者の選び方は原状回復業者の選び方もあわせてご確認ください。

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参考文献・出典

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