費用・相場

原状回復費用の相場と内訳【賃貸マンション・アパート別】

2026.04.28  | 更新: 2026.05.11
原状回復費用の相場と内訳【賃貸マンション・アパート別】

退去時に「原状回復費用が想定より高い」「どこまで借主が負担するのかわからない」というトラブルは年間数万件にのぼります(国民生活センターへの相談実績)。本記事では、国土交通省のガイドラインに基づき、原状回復費用の相場(間取り別・居住年数別・施工項目別)から借主・貸主の費用分担ルール、高額になる要因、法人向け勘定科目まで、入居者・管理会社・オーナーが知るべきすべてを解説します。

📋 この記事でわかること

  • 原状回復費用の定義と国交省ガイドラインが定めるルール
  • 間取り別・居住年数別・施工項目別の費用相場(2026年最新)
  • 借主(入居者)と貸主(オーナー)の費用分担の判断基準
  • 原状回復費用が高額になりやすい5大要因と対策
  • 管理会社・オーナーのための費用適正化ポイント【BtoB向け】
  • 法人・個人事業主向け勘定科目(修繕費・資本的支出)の仕訳方法

原状回復費用とは、賃貸物件の退去時に借主(入居者)が負担する、故意・過失や善管注意義務違反によって生じた損耗・毀損を元に戻すための費用です。経年劣化や通常の使用による損耗(通常損耗)は借主負担に含まれません。

1. 原状回復費用とは?基本定義と法的根拠

国交省ガイドラインが定める「原状回復」の定義

「原状回復費用」を正しく理解するには、まず国土交通省が定めた定義から入ることが重要です。国交省は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」において、次のように定義しています。

「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」

出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」

重要なのは、「原状回復は借りた当初の状態に完全に戻すことではない」という点です。経年劣化(自然な老朽化)や、普通に生活を送る上で避けられない損耗(通常損耗)については、借主が負担する必要はありません。これらの費用は毎月の賃料にすでに含まれているという考え方に基づきます。

法的根拠:民法第621条(2020年改正)

原状回復義務の法的根拠は民法第621条(e-Gov法令検索)にあります。2020年4月の民法改正により、「通常の使用及び収益によって生じた損耗並びに経年変化を除く」損傷のみが原状回復義務の対象と法律に明文化されました。これにより借主の権利保護が一層強化されています。

原状回復費用の「対象」と「対象外」

借主(入居者)負担になるもの
  • タバコのヤニ・臭いによる壁紙の汚染・変色
  • ペットによる壁・床のひっかき傷・臭い
  • 誤って開けた壁の大穴(下地ボードまで損傷)
  • 結露を放置して悪化させたカビ・シミ
  • 引越し作業中に付けた傷・ひっかき傷
  • 故意または不注意による設備の破損
  • 無断でのDIY改造(ペンキ塗り・穴あけなど)
貸主(オーナー)負担(借主負担外)
  • 日照による壁紙・フローリングの変色・色あせ
  • 家具の設置によるフローリングのへこみ・跡
  • 画鋲・ピン程度の小さな穴(下地に影響しないもの)
  • 通常使用による設備の自然劣化・摩耗
  • 冷蔵庫・テレビなどの後部壁面の黒ずみ
  • エアコン設置のためのビス穴(入居前からある場合)
  • 建物の構造上の欠陥や設備の老朽化

詳しい負担割合の基準は原状回復ガイドラインの負担割合表完全版、国交省ガイドラインの解説は国土交通省の原状回復ガイドラインをわかりやすく解説もあわせてご参照ください。

2. 【2026年最新】原状回復費用の相場一覧

原状回復費用の相場は、間取り・居住年数・損傷箇所・施工エリアによって大きく異なります。2026年4月時点の東京・神奈川・埼玉・千葉(1都3県)における相場データをもとに解説します。

間取り別の原状回復費用相場(早見表)

📌 表の見方

「借主負担分」は入居者が支払う費用の目安、「工事全体」は借主・貸主合算の費用合計です。タバコ・ペット・重大な損傷がある場合は大幅に増額となります。

間取り 居室面積の目安 借主負担分の相場 工事全体の相場 主な工事内容
1R / 1K 15〜25㎡ 3〜8万円 5〜15万円 クロス張替・ハウスクリーニング・小補修
1DK 25〜35㎡ 5〜12万円 8〜20万円 クロス・CF・ハウスクリーニング
1LDK 35〜50㎡ 8〜18万円 12〜28万円 クロス・床材・クリーニング・建具
2LDK 50〜70㎡ 12〜25万円 18〜40万円 全室クロス・床材・水回り・クリーニング
3LDK 70〜90㎡ 18〜40万円 25〜60万円 全室クロス・床材・水回り・設備交換
4LDK以上 90㎡以上 30〜60万円 40〜100万円以上 大規模工事・設備全般・クリーニング一式

※上記は2026年4月時点の1都3県における目安額です。より詳しい早見表は原状回復費用の相場早見表【1K〜4LDKまで施工項目別】、退去費用全体の相場は退去費用の相場と内訳完全ガイドをご参照ください。

居住年数別の費用目安と借主負担率の変化

借主の負担割合は、居住年数(経過年数)が長くなるほど下がります。これは国交省ガイドラインが「建物・設備の経年劣化を考慮し、年数に応じて負担割合を減少させる」方針を採用しているためです。クロスやCF(クッションフロア)は耐用年数6年を基準として計算します。

「経過年数は、賃借人の故意・過失等による損傷について、賃借人が賃料として支払ってきた年数分の劣化・消耗については、回復費用を軽減すべきとする考えに基づいている。」

出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(PDF)
居住年数 クロスの借主負担率目安 CF・カーペットの負担率 1K/1DK 借主負担分の全体目安
1年 約83% 約83% 5〜10万円
3年 約50% 約50% 4〜8万円
6年 1円(材料費は実質ゼロ) 1円(材料費は実質ゼロ) 2〜5万円(ハウスクリ等のみ)
10年以上 ゼロ ゼロ 1〜3万円(クリーニングのみ)

居住6年以上でクロス・CFの残存価値は1円とみなされ、借主の材料費負担はほぼゼロになります。ただし、張替えに伴う職人の手間賃の一部や、ハウスクリーニング特約がある場合の清掃費は別途発生します。タバコによる全室汚染など著しく通常使用を超える場合は、この限りではありません。

地域別の費用差(東京・神奈川・埼玉・千葉)

エリア 費用の傾向 1K相場の目安
東京23区内 最も高い(人件費・交通費の影響) 6〜15万円
東京多摩地区 23区より10〜15%安め 5〜12万円
神奈川(横浜・川崎) 23区と同等〜やや安め 5〜13万円
埼玉・千葉(主要都市) 23区より15〜20%安め 4〜10万円

⚠️ 2026年7月以降:資材価格の上昇に注意

建材・資材価格の上昇により、2026年7月以降は原状回復工事の施工単価が10〜30%程度値上がりする見込みです。早期の工事発注・見積取得をお勧めします。管理会社・オーナーの方は今のうちに取引業者との単価確認を行っておくことが重要です。

3. 【施工項目別】原状回復費用の単価と内訳

見積書を受け取った際、各施工項目の単価が適正かどうかを確認することが重要です。以下に2026年時点の標準的な単価をまとめます。より詳細な単価表は原状回復工事の施工目安単価表【2026年最新版】もご参照ください。

クロス(壁紙)の張替え費用

工事内容 単位 単価目安(2026年) 備考
一般的なクロス張替え 1㎡あたり 1,000〜1,800円 下地処理込み
消臭・防カビ仕様クロス 1㎡あたり 1,500〜2,500円 タバコ・ペット臭対応
天井クロス張替え 1㎡あたり 1,200〜2,000円 足場費が加算される場合あり
6畳の部屋(全張替えの目安) 一室分 4〜8万円 壁面面積約40㎡換算

クロスの詳しい費用・畳数別相場・業者選定についてはクロス張替えの完全ガイド【相場・工期・業者選び】をご覧ください。

床材(フローリング・クッションフロア・畳)の費用

工事内容 単位 単価目安(2026年) 耐用年数
クッションフロア(CF)全張替え 1㎡あたり 1,500〜2,800円 6年
フローリング補修(1箇所) 1箇所 8,000〜20,000円
フローリング全張替え 1㎡あたり 8,000〜20,000円 建物耐用年数に準拠
畳の表替え 1畳あたり 4,000〜8,000円 10年(裏返しは5年)
畳の裏返し 1畳あたり 2,000〜4,000円

クッションフロアの詳細は賃貸クッションフロアの原状回復ガイド【ケース別の負担早見】で解説しています。

ハウスクリーニングの費用

ハウスクリーニングは、賃貸契約書に「退去時の清掃費用は借主負担」という特約がある場合のみ借主が負担します。特約のない場合、通常の使用による汚れの清掃は貸主負担が原則です(国交省ガイドラインQ&A参照)。

清掃対象 費用目安(2026年)
室内全体クリーニング(1R/1K) 25,000〜45,000円
室内全体クリーニング(1LDK〜2DK) 40,000〜70,000円
室内全体クリーニング(2LDK) 50,000〜85,000円
室内全体クリーニング(3LDK) 65,000〜110,000円
エアコン1台クリーニング 10,000〜20,000円
浴室(ユニットバス)クリーニング 12,000〜25,000円
キッチン・換気扇クリーニング 15,000〜30,000円

水回り・設備・その他の費用

工事内容 費用目安 借主負担になるケース
浴室のカビ・水垢除去 1〜3万円 換気不足による拡大カビ
トイレのクロス張替え 1〜2万円 尿汚れによる変色
コンロ周りの油汚れ清掃 1〜3万円 油汚れの長期放置
壁の大穴補修(下地ボード損傷) 5,000〜20,000円/箇所 借主負担(故意・過失)
画鋲・ピンの小穴(クロスのみ) 無料〜3,000円/箇所 原則貸主負担(ガイドライン)
エアコン取付ビス穴補修 3,000〜10,000円/箇所 退去時のエアコン取外し跡
鍵交換 1〜3万円 紛失は借主負担。特約がある場合も借主負担

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4. 借主・貸主の費用負担ルールと経過年数の計算方法

原状回復費用トラブルの多くは、借主・貸主の費用負担の境界線が曖昧なことから生じます。国交省ガイドラインは費用の負担区分を次の3つのカテゴリーで整理しています。

A|貸主(オーナー)負担

経年変化・通常損耗

時間経過や通常の使用で生じる劣化。賃料に含まれているため借主は負担しない。例:日照による色あせ、通常使用による設備の摩耗

B|借主(入居者)負担

故意・過失・善管注意義務違反

借主の不注意・故意による損傷。経過年数に応じて負担割合を減額して計算。例:タバコ汚れ、ペット傷、大穴

B+A|年数考慮

経過年数で減額

借主に原因があるが、建物の耐用年数を考慮して負担額を軽減。クロス・床材の多くがこのパターン

経過年数による負担割合の計算方法(具体例)

📐 計算例:クロスの経過年数による負担割合

【前提】居住3年 / クロス張替え費用:10万円 / 耐用年数:6年
残存価値割合 =(6年 − 3年)÷ 6年 = 50%
→ 借主負担額:10万円 × 50% = 5万円
※「手間賃」部分(張替えに伴う作業費)は別途借主負担となる場合があります。

判断が難しいグレーゾーン事例

グレーゾーン事例① 結露によるカビ・シミ

結露そのものは貸主負担(建物の問題)ですが、結露を放置して換気を怠ったことでカビが広がった場合は借主負担になります。適切な換気・清掃を行っていたかどうかが判断基準です。

→ ポイント:日常的な換気と清掃の記録を残しておくとトラブル防止になります。

グレーゾーン事例② ガスコンロ周りの頑固な油汚れ

調理による軽微な油汚れは通常損耗(貸主負担)ですが、長期間掃除せず炭化してこびりついた汚れは善管注意義務違反として借主負担になることがあります。

→ ポイント:退去前の自主清掃で軽減できる費用です。

グレーゾーン事例③ 壁紙の手垢・軽微な汚れ

生活で自然に生じる手垢や軽微な汚れは通常損耗(貸主負担)です。ただし、落書きや壁を汚した跡が明確な場合は借主負担となります。

→ ポイント:入退去時の写真記録があると負担区分の証明がスムーズです。

借主・貸主の負担割合の一覧は原状回復ガイドラインの負担割合表完全版に、オーナー向けの費用負担相場は原状回復費用のオーナー負担相場と見積もりチェックポイントにまとめています。

5. 原状回復費用が高額になりやすい5大要因

原状回復費用が相場より大幅に高くなるケースには、以下の5つの要因が多く関わっています。退去前に確認し、少しでも費用を抑える対策を取ることが重要です。

  1. 1 喫煙(タバコのヤニ・臭い) 室内でのタバコは、クロス全面の汚染・脱色・臭いの染み込みを引き起こします。消臭・防カビ加工クロスの使用や下地処理が必要になるため、費用が1.5〜2倍以上になることも珍しくありません。居住年数が6年以下の場合はとくに高額になりやすいです。
  2. 2 ペット飼育(無断・有断を問わず) ペットによる壁・柱のひっかき傷や、床への臭い染み込みは、クロスや床材の全面張替えが必要になるケースが多く費用が大幅増加します。ペット可物件でも特約次第で借主全額負担となります。
  3. 3 結露の放置によるカビ・シミの拡大 換気不足による大規模なカビは、クロス張替えだけでなく防カビ処理・下地修繕が必要になることがあります。放置期間が長いほど補修範囲が広がり、費用が増大します。
  4. 4 無断でのDIY・改造(穴あけ・塗装等) 無断DIY(壁への大穴、ペンキ塗り、床材への直接接着など)は、原状回復費用が大幅増加します。「元に戻せない状態」になると材料・工事費の全額が借主負担になるケースもあります。
  5. 5 長期間の清掃不足・放置 通常の汚れも長年放置すれば「善管注意義務違反」として借主負担になることがあります。とくに水回り(浴室・トイレ・キッチン)の清掃不足は通常クリーニングでは落ちない汚れを生じさせ、費用増加の原因になります。

6. 管理会社・オーナーのための原状回復費用適正化ガイド

管理会社やオーナーの方にとって、原状回復費用の適正管理は空室期間の短縮とコスト最適化の両方に直結します。イニシャルエージェンシーが現場で実践しているポイントをご紹介します。

適正価格を見極める3つのステップ

1

施工項目別の単価を相場と比較する

見積書を受け取ったら、クロス単価(㎡あたり)・CF単価・ハウスクリーニング費用を相場表と比較します。1㎡あたり2,500円超のクロス単価や、1Kで6万円超のクリーニング費用は割高のサインです。

2

最低3社以上の相見積もりを取る

オーナー指定業者のみに依頼すると相場より2〜3割高くなることがあります。退去立会代行業者を活用して複数業者の見積もりを代行してもらう方法も効果的です。

3

入退去時の写真記録で根拠を明確にする

入居時・退去時の日付入り写真記録を残しておくことで、借主負担の根拠が明確になり、トラブルを防ぎながら適正な費用請求が可能になります。

2026年の資材価格上昇への実務的対応

退去立会代行×原状回復工事のワンストップ対応メリット

メリット①

立会確認がそのまま工事仕様に反映

立会時に確認した損傷箇所が即座に施工担当者に共有され、見積もりの精度が上がりトラブルが発生しにくくなります。

メリット②

管理会社担当者の作業量が大幅削減

立会・撮影・報告書・見積・施工・完了確認をすべてワンストップで対応するため、担当者の現場対応回数が激減します。

メリット③

空室期間の短縮でオーナーの損失を最小化

立会から工事完了まで最短スケジュールで進むため、空室期間が短くなりオーナーの機会損失を抑えられます。

メリット④

2担当制で手直し率が低く品質が安定

イニシャルエージェンシーの立会担当×施工担当の2担当制により手直し率が低く抑えられ、3日以内の手直し保証も提供しています。

10,000件超

施工実績(創業3年)

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手直し保証

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原状回復工事の業者選定や管理会社向けの実務については原状回復工事とは?管理会社が知るべき業者選定の全知識もご参照ください。また、イニシャルエージェンシーの原状回復サービス詳細もご確認いただけます。

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7. 原状回復費用の勘定科目【法人・個人事業主向け】

法人や個人事業主が事務所・店舗の原状回復費用を支払う場合、会計処理の方法が問題となります。原状回復費用の勘定科目は主に「修繕費」または「資本的支出(建物改良費)」に分類されます。

修繕費と資本的支出の判断基準

区分 内容 原状回復費用での例 税務上の扱い
修繕費 原状に戻すための費用・通常の維持管理 クロス張替え・ハウスクリーニング・穴補修・床材張替え 全額損金算入(即時費用化)
資本的支出 価値を向上・耐用年数を延長する費用 グレードアップ仕様のリフォーム・設備の性能向上 減価償却(資産計上・複数年で費用化)

原状回復(元の状態に戻す)ための費用は原則として「修繕費」として全額損金算入が可能です。元の状態を超えたグレードアップを伴う場合のみ「資本的支出」として資産計上が必要です。判断基準は国税庁「修繕費と資本的支出の区分」(タックスアンサー No.5402)をご確認ください。

仕訳例(法人の場合)

場面 借方 貸方 金額例
退去時にクロス張替えを支払い(全額修繕費) 修繕費 現金 / 普通預金 150,000円
請求書受領時(未払い計上) 修繕費 未払金 150,000円
グレードアップを含む場合(一部資本的支出) 修繕費 / 建物 現金 / 普通預金 工事費用を按分して計上

詳細な仕訳方法・消費税処理・法人と個人事業主の違いについては原状回復費用の勘定科目と仕訳方法【法人・個人事業主向け】で詳しく解説しています。

8. よくある原状回復費用のトラブル事例と対処法

国民生活センターには、賃貸退去時の敷金・原状回復費用に関する相談が年間多数寄せられています。代表的なトラブル事例と対処法を解説します。

トラブル事例①「全室クロスの全額張替えを請求された」

居住12年の退去時に、全室クロスの全額張替え費用(40万円)を請求された事例。ガイドラインでは6年以上居住でクロスの残存価値は1円であり、借主負担は手間賃のみが原則です。

→ 対処法:国交省ガイドラインを根拠に書面で異議を申し出る。解決しない場合は消費生活センター(電話:188)へ相談。

トラブル事例②「入居時からあった傷・汚れを退去費用に含められた」

入居時から存在していた壁の傷やフローリングの剥がれを退去費用に含めて請求された事例。入居時の現況確認書(チェックシート)を保存していなかったため、立証が困難になりました。

→ 対処法:入居時の写真・現況確認書は退去まで保管する。退去立会時には必ず日付入り写真を撮影・保存する。

トラブル事例③「ハウスクリーニング費用を相場の2〜3倍で請求された」

「退去時のハウスクリーニング費用は借主負担」という特約はあるものの、相場の2〜3倍の費用を一方的に請求された事例。特約自体は有効ですが、著しく高額な場合は減額交渉が可能です。

→ 対処法:相場金額を調査し、大幅に上回る場合は書面で減額交渉を行う。消費者契約法第10条に基づき、一方的に消費者の利益を害する特約は無効を主張できる場合もあります。

トラブル時の主な相談窓口

管理会社・オーナーとして退去トラブルを防ぐには、退去立会の段階での正確な現況確認と根拠資料の整備が最も重要です。退去立会代行サービスを活用することで、第三者による客観的な記録が残りトラブルリスクを大幅に低減できます。

9. よくある質問(FAQ)

Q 原状回復費用は敷金から差し引かれるのですか?
A

はい。原則として、借主が負担すべき原状回復費用は退去時に敷金(保証金)から差し引かれます。費用が敷金を超える場合は不足分を追加で請求されます。逆に費用が敷金を下回れば、残額が返還されます。敷金ゼロの物件でも、借主負担分は退去費用として別途請求されます。

Q 6年以上住んだ場合、原状回復費用を全く払わなくていいのですか?
A

6年以上住んだ場合、クロスやCFなどの残存価値は1円とみなされ、材料費の負担はほぼゼロになります。ただし、①張替えに伴う職人の手間賃の一部、②ハウスクリーニング特約がある場合の清掃費用、③鍵交換費用の特約がある場合は引き続き支払いが必要です。また、タバコや重大な損傷がある場合はこの限りではありません。

Q 管理会社として、原状回復費用を入居者に請求できる上限はありますか?
A

法律上の上限金額は定められていませんが、国交省ガイドラインに基づく経過年数・耐用年数を超えた請求は無効と判断される可能性があります。請求できるのは「借主の故意・過失による損耗」の範囲内かつ「経過年数を考慮した残存価値」相当分が原則です。著しく高額な請求は消費者契約法により無効となる場合もあります。

Q 原状回復費用の見積もりが高すぎる場合はどうすればよいですか?
A

まず施工項目別の単価と相場を比較し、高額な箇所を特定します。次に国交省ガイドラインの経過年数・耐用年数を根拠に書面で交渉します。それでも解決しない場合は、消費生活センター(188)への相談や少額訴訟(60万円以下)の活用が選択肢になります。

Q 退去立会を代行業者に任せるメリットは何ですか?
A

退去立会代行業者を利用することで、①専門知識に基づく正確な損傷箇所の記録・写真撮影、②借主・貸主双方が納得できる中立的な立会対応、③原状回復工事への円滑な引き継ぎが可能です。管理会社の担当者が現場に立ち会えない場合や、入居者とのトラブルリスクを低減したい場合に特に有効です。

Q 法人が原状回復費用を支払う場合の勘定科目は何ですか?
A

原状回復(元の状態に戻す)ための費用は原則として「修繕費」として全額損金算入が可能です。ただし、元の状態を超えたグレードアップを伴う工事が含まれる場合は「資本的支出」として資産計上・減価償却が必要です。詳細は国税庁のタックスアンサー No.5402 をご確認ください。

10. まとめ

原状回復費用は、借主の故意・過失による損耗を元に戻すための費用であり、経年劣化や通常損耗は含まれません。国土交通省のガイドラインと民法第621条がその基準を定めており、費用負担の判断には経過年数・耐用年数の考慮が欠かせません。

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参考文献・出典

原状回復工事・ハウスクリーニングのご相談は

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