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賃貸修繕業者の選び方と費用相場|管理会社・オーナーが失敗しない7つのチェックポイント

2026.05.12  | 更新: 2026.05.24
賃貸修繕業者の選び方と費用相場|管理会社・オーナーが失敗しない7つのチェックポイント

「修繕業者に頼んだら費用が高すぎた」「緊急の水漏れに即日対応できる業者がすぐ見つからなかった」——賃貸管理会社や不動産オーナーから、こうした声をよく耳にします。賃貸物件の修繕業者選びは、管理業務の効率と物件の資産価値に直結する重要な意思決定です。本記事では、管理会社・オーナーが押さえるべき修繕業者の選び方7つのチェックポイント、修繕タイプ別の費用相場、貸主・借主の費用負担区分を実務目線で解説します。

📋 この記事でわかること

  • 賃貸物件の修繕と原状回復の違い・3つの修繕タイプの整理
  • 緊急修繕・定期修繕・退去時修繕それぞれに適した業者の選び方
  • 修繕業者を選ぶ7つのチェックポイント(実務チェックリスト付き)
  • 貸主(オーナー)と借主(入居者)の費用負担の判断基準
  • 修繕業者台帳を使った効率的な協力業者管理の方法

賃貸物件の「修繕」とは?原状回復との違いと3つのタイプ

賃貸物件における修繕とは、老朽化・故障・損傷した設備や内装を修理・補修し、使用可能な状態に戻す行為のことです。

修繕と原状回復は混同されがちですが、法的・実務的に異なる概念です。原状回復とは、退去時に借主(入居者)が故意・過失によって損傷させた部分を元の状態に戻す義務を指します。一方、修繕は入居中に発生する設備故障や建物の経年劣化への対応も含む、より広い概念です。

管理会社・オーナーが「修繕業者」に依頼する場面は、大きく以下の3つに分かれます。この分類を理解しておくことで、適切な業者への依頼と費用管理が可能になります。

① 緊急修繕

水漏れ・鍵の破損・エアコン故障など、入居中の突発的な設備不具合への対応。即日〜翌日対応が求められる。

② 計画的修繕

外壁塗装・屋根防水・設備更新など、長期修繕計画に基づく定期的な維持管理工事。数年〜数十年単位で実施。

③ 退去時修繕

退去後の原状回復工事(クロス張替・ハウスクリーニング等)。次入居までのスピードが空室損失に直結する。

実務上のポイント:民法606条とオーナーの修繕義務

民法606条により、賃貸人(貸主)は目的物の使用収益に必要な修繕をする義務を負います。入居中の設備故障・建物の経年劣化に対する修繕費用は、原則として貸主(オーナー)が負担します。ただし、借主の故意・過失・善管注意義務違反による損傷は借主負担となるため、損傷原因の特定が重要です。

修繕費用の相場と貸主・借主の負担区分

修繕項目別の費用目安

賃貸物件の修繕費用は、工事の種類・対象設備・物件の築年数によって大きく異なります。以下は東京都内の標準的な費用目安です。相見積もりの際の比較基準としてご活用ください。原状回復費用の相場についてもあわせてご確認いただけます。

修繕項目費用目安主な負担者備考
エアコン修理・交換8.5〜14.5万円〜原則:貸主故意破損は借主負担
水栓(蛇口)交換3.5〜7.5万円〜原則:貸主給湯器交換は別途高額
クロス張替(量産品)1,000円/㎡〜借主(損傷分)経年劣化は貸主負担
クッションフロア貼替1.5万円〜/式借主(損傷分)ペット損傷・汚染など
ハウスクリーニング(1K)2.1〜2.4万円〜特約で借主負担が多い契約書の特約を要確認
排水管清掃3〜8万円〜原則:貸主詰まりは借主負担の場合も
フローリング補修(リペア)1.98〜3.2万円〜/人工損傷原因による部分補修で費用を抑えられる
ウォシュレット交換3.5〜5.6万円〜原則:貸主設備として提供している場合
鍵交換(シリンダー)1〜3万円〜退去時は借主負担が多い防犯性向上は貸主負担
間取り別・原状回復費用合計(目安)1K: 7〜10万円〜2LDK: 15〜23万円〜 / 3LDK: 22〜34万円〜

※上記単価はイニシャルエージェンシーの施工実績に基づく東京都内の目安です。物件の状況・広さ・使用材料によって変動します。大規模修繕(外壁塗装・屋根防水など)は別途100〜500万円以上かかるケースが一般的です。

国交省ガイドラインに基づく負担区分の判断基準

費用負担の区分でトラブルが最も多いのは「これは借主負担か、貸主負担か」の判断です。国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、負担区分を「A:貸主負担」「B:借主負担」「B+A:経過年数考慮」の3パターンに整理しています。

「賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」

出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」

A|貸主負担

経年変化・通常損耗

日照による壁紙・床の変色、フローリングの自然劣化、設備機器の経年劣化。借主が通常の使用をしていた場合に生じる損耗はすべて貸主負担。

B|借主負担

故意・過失・善管注意義務違反

タバコのヤニ・臭い、ペットによる傷・臭い、家具移動時の壁への衝突傷、結露放置によるカビ、鍵の紛失。借主の不適切な使用が原因の損傷。

B+A|年数考慮

借主負担だが経過年数で減額

クロスは6年で残存価値1円(残存価値を経過年数で按分)。フローリングは部分補修なら考慮なし、全面張替は経過年数で減額。

⚠️ 管理会社が陥りやすい注意点

入居者とのトラブルを未然に防ぐためには、退去立会時の記録(写真・損傷チェックシート)が決定的に重要です。「なぜこの費用が発生するか」をガイドラインの根拠とともに説明できることが、クレーム対応コストを大幅に削減します。立会時の記録が不十分だと、後から費用の正当性を主張しにくくなります。

修繕タイプ別:どの業者に依頼すべきか

修繕の種類によって、適切な依頼先は異なります。すべてを同じ業者に任せるのではなく、修繕タイプごとに専門性を見極めた業者選定が管理業務の品質と効率を左右します。

修繕タイプ適した業者選定の重点ポイント
① 緊急修繕
(水漏れ・鍵破損・エアコン故障など)
設備専門業者
(電気・水道・鍵屋など)
即日〜翌日対応できるか
・24時間受付の可否
・対応エリアの確実性
② 計画的修繕
(外壁・屋根・防水・大型設備更新)
建設会社・工務店
各専門工事業者
・施工実績・保有資格
・長期修繕計画への対応力
・相見積もりによる適正価格確認
③ 退去時修繕
(原状回復・クロス・ハウスクリーニング)
原状回復専門業者
内装工事業者
・退去〜次入居まで最短即日〜3日以内の工期
ワンストップ依頼のメリット(立会〜工事〜清掃の一括委託)
・見積の透明性・手直し保証の有無

管理物件数が多い管理会社では、3タイプごとに複数の協力業者の選び方を踏まえた「修繕業者台帳」を整備することで、急な依頼にも迅速に対応できる体制を構築しています。詳しくは後半の「修繕業者台帳の作り方」で解説します。

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賃貸修繕業者を選ぶ7つのチェックポイント

実際に修繕業者を選定する際、どの点を重視すべきでしょうか。原状回復業者の選び方の基本を押さえた上で、以下に管理会社・オーナーが実務で使える7つのチェックポイントをまとめます。協力業者評価シートとしてそのままご活用いただけます。

  1. 1 施工実績と対応物件の種類 築年数・構造(木造/RC造/SRC造)・間取りが自社管理物件と近い施工実績があるか確認します。実績数が多いほど想定外のケースへの対応力も高くなります。「施工実績10,000件超」など具体的な件数を開示している業者は信頼性の目安になります。
  2. 2 対応スピード(緊急対応の可否) 退去後の原状回復は空室期間の短縮=収益損失の最小化に直結します。また入居中の緊急修繕(水漏れ・鍵トラブル)への即日対応力も重要な選定基準です。「最短即日対応が可能か」「土日祝日も動けるか」を事前に確認しておきましょう。
  3. 3 見積書の透明性と明細の詳しさ 「工事一式 ○○万円」の見積書は要注意です。工事項目・数量・単価が明記された明細見積を提出できる業者を選びましょう。入居者への費用説明や国土交通省ガイドラインとの整合性確認にも必須です。
  4. 4 対応範囲(ワンストップ性) 退去立会代行・原状回復見積・施工・ハウスクリーニングまでをワンストップで対応できる業者は、業者間の引き継ぎロスがなく工期短縮・コスト管理がしやすいです。複数業者への分散発注は、連絡調整の工数が増え、責任の所在が曖昧になりやすいという課題があります。
  5. 5 アフターフォロー・手直し保証 施工後に入居者や次の借主から「壁紙が浮いている」「床補修が目立つ」などのクレームが発生した場合、無償で対応してもらえるか確認します。「3日以内の手直し保証」など保証制度が明文化された業者は、品質へのコミットメントが高い証左です。
  6. 6 担当者の専門知識・コミュニケーション力 担当者が国土交通省ガイドラインの知識を持ち、「ガイドラインの根拠をもとに費用説明ができるか」は入居者クレーム対応力に直結します。また2担当制(立会担当×施工担当)の体制を持つ業者は、専門性が高く立会から施工まで責任分担が明確です。
  7. 7 相見積もりへの対応と料金の明確さ 相見積もりを嫌がる業者は選ばないのが原則です。適正価格の業者は他社比較を歓迎します。また「〜円〜」など最低価格を明示した料金体系を開示しているかも信頼性の指標になります。

💡 チェックリストの活用方法

上記7項目を社内の協力業者評価シートに組み込むと、担当者が変わっても一貫した基準で業者選定が可能になります。後半の「修繕業者台帳の作り方」で具体的な評価シートの設計を解説します。

管理会社・オーナーが修繕業者で失敗する3つのパターン

修繕業者の選定でよく起きる失敗パターンを整理します。同じ失敗を繰り返さないための対策を事前に把握しておきましょう。

失敗① 管理会社指定業者に一任して費用が高止まりする

管理会社が斡旋する業者をそのまま使い続けると、相見積もりがないため価格競争が働かず、適正相場より20〜30%割高な費用が続くことがあります。特に退去のたびに同じ業者を使っている場合、見直しの機会が失われやすくなります。

→ 対策:定期的に相見積もりを取り、適正価格の把握と業者の競争環境を維持する。年に1度、協力業者の評価見直しをスケジュールに組み込む。

失敗② 緊急修繕対応業者を確保しておらず空室損失が発生する

入居者からの緊急修繕の連絡(水漏れ・鍵紛失・給湯器故障など)に対して、即日対応できる業者がいないと入居者満足度が低下し、退去につながることがあります。また退去後の修繕が1週間以上かかると、その分の家賃逸失(空室損失)が発生します。

→ 対策:修繕ジャンル別(水道・電気・鍵・設備)に即日対応可能な業者を事前に業者台帳へ登録しておく。

失敗③ 退去立会と施工を別業者にして指摘漏れが発生する

退去立会を管理会社が自社で行い、施工を別の業者に依頼した場合、立会記録と施工内容のギャップが生じやすくなります。立会時に見落とされた損傷が後から発覚しても、費用追加が難しくなります。

業者によっては「立会での見落とし」がそのまま追加請求につながるケースもあり、入居者とのトラブルリスクが高まります。退去立会担当と施工担当が連携した体制(2担当制)では、立会時の指摘内容がそのまま施工指示に引き継がれるため、指摘漏れが発生しにくい構造になっています。

→ 対策:立会代行から原状回復工事・クリーニングまでワンストップで対応できる業者に委託し、業者間の情報連携ロスをなくす。

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修繕業者台帳の作り方|管理会社の実務ベストプラクティス

修繕業者を個別案件ごとにゼロから探すのではなく、修繕ジャンル別の業者台帳(協力業者リスト)を整備することで、管理業務の標準化と対応スピードが格段に向上します。

修繕ジャンル別に複数業者を登録する理由

業者台帳では、修繕タイプごとに最低2〜3社の候補を登録しておくことが推奨されます。理由は3つあります。

  • 1社に断られても即日で代替業者に発注でき、空室期間の延長リスクを最小化できる
  • 複数業者への相見積もりが習慣化され、市場価格より割高な発注を防げる
  • 担当者が退職・異動しても、同じ品質基準・業者リストで業務が継続できる

協力業者評価シートの設計ポイント

業者台帳には単なる連絡先だけでなく、以下の評価軸でスコアリングして管理すると実用性が高まります。案件ごとの評価を積み重ねることで、定期的な業者見直しの際にも判断材料として活用できます。

評価項目確認内容
対応速度緊急依頼時の最短対応時間(即日/翌日/2〜3日)
対応エリア自社管理物件エリアをカバーしているか
見積の透明性工事項目・数量・単価が明記された明細見積の提出可否
ワンストップ性立会〜施工〜クリーニングの一括対応可否
手直し保証施工後の保証期間と無償対応の条件
過去の実績評価これまでの案件での品質・クレーム発生件数
担当者の知識国土交通省ガイドライン準拠の見積作成が可能か

ワンストップ業者との継続委託が生む3つのメリット

退去立会代行から原状回復工事・ハウスクリーニングまでをワンストップで対応する業者との継続委託は、管理会社・オーナーに以下の3つのメリットをもたらします。

業務時間の削減

立会・見積・発注・工事確認の各工程を一社に委託することで、担当者の調整工数が大幅に削減される。複数業者への個別連絡が不要になる。

品質の安定

立会記録が施工指示に直結するため、指摘漏れや手直しの発生が少ない。2担当制で責任所在が明確になり、工事品質が均一化される。

クレームの削減

ガイドライン準拠の明細見積によって入居者への費用説明がしやすくなり、退去時トラブルを未然に防ぐ。経験豊富な担当者がクレーム対応もサポート。

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修繕発注フローの標準化:管理会社が整備すべき3つの仕組み

業者台帳を整備した上で、さらに修繕発注フローを標準化しておくと、属人化を防ぎ業務品質が安定します。以下の3つの仕組みを組み合わせることで、新人担当者でも迷わず対応できる体制が整います。

1

修繕依頼受付シートの整備

入居者からの修繕連絡を受けた際に記録する「修繕依頼受付シート」を用意します。発生日時・損傷箇所・原因・対応優先度(緊急/通常)・発注先を記録することで、案件の進捗管理とトラブル時の証跡保全が同時に行えます。

2

修繕種別ごとの発注フローチャート

「水漏れ → 水道業者Aへ即日連絡」「クロス損傷 → 原状回復業者Bへ見積依頼」など、修繕種別ごとの発注先と手順をフローチャート化して共有します。担当者が変わっても迷わず動ける体制になります。

3

年次の業者評価と台帳更新

年に1度、協力業者を評価シートで採点し、対応品質が低下した業者の入れ替えを検討します。業者台帳は「作って終わり」ではなく、継続的に更新することで実効性が保たれます。

よくある質問

Q 賃貸物件の修繕費用は貸主・借主どちらが負担するのですか?
A

原則は貸主(オーナー)負担です。民法606条により、賃貸物件の使用収益に必要な修繕義務は貸主が負います。ただし、借主の故意・過失・善管注意義務違反による損傷(タバコのヤニ、ペット傷、結露放置によるカビなど)は借主負担となります。国土交通省ガイドラインを参照しながら、損傷の原因に応じて負担区分を判断することが重要です。

Q 管理会社が修繕業者を一括で選定・管理するメリットは何ですか?
A

担当者の調整工数が削減され、業務効率化と品質の安定が同時に実現します。特にワンストップ対応業者(立会〜工事〜クリーニング)との委託では、業者間の引き継ぎロスがなく、退去から次入居までの工期が短縮されます。また継続委託によって業者との信頼関係が構築され、緊急案件への優先対応も期待できます。

Q 修繕業者への相見積もりはどのように取ればよいですか?
A

少なくとも2〜3社に同じ条件(間取り・損傷内容・工事仕様)を提示して依頼します。見積書は「一式○万円」ではなく、工事項目・数量・単価が明記された明細形式で提出してもらうことが前提です。金額だけでなく対応速度・保証内容・担当者の知識も含めて総合的に評価しましょう。

Q 緊急修繕(水漏れ・鍵トラブルなど)に対応できる業者はどう探せばよいですか?
A

事前に修繕業者台帳を整備し、水道・電気・鍵屋など緊急対応可能な設備業者をジャンル別に登録しておくことが最善策です。退去時の原状回復を依頼している業者が緊急修繕にも対応しているか確認し、可能であれば一社にまとめることで連絡窓口を集約できます。

まとめ:賃貸修繕業者選びの7ポイントと業者台帳の活用

賃貸物件の修繕は、緊急修繕・計画的修繕・退去時修繕の3タイプに分かれ、それぞれ適した業者が異なります。管理会社・オーナーが失敗しないための7つのチェックポイントを改めて整理します。

  • ① 施工実績と対応物件の種類を確認する
  • ② 緊急対応の可否とスピードを事前に確認する
  • ③ 見積書の透明性(明細形式)を求める
  • ④ ワンストップ対応の範囲を確認する
  • ⑤ アフターフォロー・手直し保証の有無を確認する
  • ⑥ 担当者がガイドラインの知識を持っているか確認する
  • ⑦ 相見積もりに応じるか・料金が明確かを確認する

また、修繕業者台帳の整備によって、急な依頼にも迅速に対応でき、担当者が変わっても一定の品質基準を維持できます。退去立会代行から原状回復工事・ハウスクリーニングをワンストップで対応する業者との継続委託は、管理業務の効率化とクレーム削減に最も効果的な選択肢のひとつです。

退去時の原状回復工事に特化した業者選定については、東京の原状回復工事業者の選び方と相場【賃貸管理会社向け】もあわせてご参照ください。

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参考文献・出典

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